4次元ガーデン

02 東京のシザーハンズ

17.October,2006

杉並区の住宅街を歩いていると、区民農園に紛れてなんだか変な庭園がある。

ここだけ農園として利用されていないようだ。
植栽だけが並んでいる。
そして、その植栽がちょっとおかしい。
いや、ちょっとどころじゃない。

まず入り口に現れたのは裸の女性。
しっかりおっぱいまでついている。
そして、後ろには宝船。
さらにその後ろにはゴジラの背中が見える。

そして、この庭園は入り口が開放されている。
横には家は一軒も建っていない。区民農園の真ん中に庭園はある。
ここは誰もが入って体験することが出来る。
不思議な場所だ。公園とも違う。
中には勿論誰もいない。
それでも誰もが入れるように解放されている。
そのギャップがこの場所をさらに複雑な空間にしている。

中に入ってみる。
裸女だけでなく、庭園にはところ狭しと綺麗に刈られた植栽が並んでいる。
五重塔、七福神の宝船、孔雀、富士山、そして奥にはネッシーまで見える。
手前の植栽は葉っぱが全部抜かれて、枝だけだ。
まるで珊瑚礁のように見える。

東京にもシザーハンズがいるのか。
でも熊やキリンなどは見られない。
全て日本を代表するイメージばかりだ。

これは東屋。
なんと屋根の下には椅子まで用意されている。
そこから桃源郷のような庭園を眺める。

この庭園は、全て植物によって作られている。
しかし、その植物をつかって庭師は空想の世界を作り上げた。

植物を使っているにもかかわらず、植物をそのまま育てているのではなくそれを違う形に手を加えることにより全く人工の庭を作る。

ここにはいろんな逆転現象が起きている。
一体人は何のために庭をつくるのか?
緑を求めているだけではないことがこの庭から感じ取ることが出来る。
しかし、それであれば別に植物を使わなくてもよかったはずだ。

植物を使いながら、それをそのまま育てるのではなく操作する。
それが東京の庭の持つ基本概念である。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-