4次元ガーデン

06 へちまと鳥専用アパート

21.October,2006

今回は庭のスペースなんかちっともない、
小さなアパートにできた壮大な4次元ガーデンについて。

これは実はアパートである。
ベランダも何もない、東京ではたびたび見かける安アパートである。
そこに壁一面、というか立体的に庭がこびりついている。
そこにはなんとヘチマがしっかり育っている。

まるでジャングルのようなこの庭には、鳥や象や麒麟など、
幾つもの動物がひっそりと暮らしている。
コレは誰の創作なのだろうか?
大家か?住人か?
それにしてもこんな大規模な庭を受け入れている住人も凄い。
幾つかの家は窓に蔦が絡まって開けにくくなっているのもある。

始めはヘチマのなるアパートという認識しかなかった。
・・・・・しかし、最近またこのアパートの近くを通ることがあって、
ついでに見てみると驚くべき事実が判明した。

久々にこのアパートを覗くと、かなり様変わりしていた。
季節柄かもしれないがヘチマの蔓はスッカリなくなっている。
そのかわり、蔓に埋もれていた緑色の金網が顔を出している。
あれは一体ナンなのだろう?
近くに寄ってみる。

この間見た時は、蔓に隠れて確認できなかったが、この金網の立体インスタレーションはどうやら鳥専用のアパートのようだ。
所々休憩するための止まり木や、水飲み場、さらには水を補給するために、白いビニール袋が所々に嵌め込まれ、雨の日の水をためるような人力システムが投入されている。
この鳥用アパートはまるで迷路のようにアパートの壁中張り巡らされ、上にいったり下に行ったり・・・スペクタクル満載である。

ディテールの写真。
金網のトンネルにはいくつかの入り口が無造作に設置されている。
手作り感に溢れすぎている。

・・・・・しかし、
鳥が一匹もいないのだ。
というか、当然だろうが。
あんなところ鳥が入ったら、絶対に出られなくなる。
どんなに面白いエンターテインメントに富んだ場所であってもここは鳥にとっては死と隣り合わせである。

それで面白いのが、この庭師はそこに偽物のおもちゃの鳥を飾っている。
人間のアパートの壁に鳥のアパートで包み込むというアイデアは抜群であるから、残念だ。
今回の庭は人間のためではなくて、鳥のために作られた庭という点も特筆すべきだろう。

東京の4次元ガーデンにはいくつもの焦点が存在する。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-