23.October,2006
この庭、はじめはただ、「へー、壁にいっぱい飾ってるな。」としか思わなかった。
壁庭のカテゴリの中に入れていた。
しかし、よーく見ると、なんだか様子がおかしいことに気づいてきた。
少し遠目に見て見ると、この庭は「山」の形をしているのである。
手前が麓でそこから左の方にグウッと上がっていっている。
しかも,材料は全て植木ポットの植物だけである。
まるで絵本スイミーの中に出てくる、皆が集まって出来た巨大魚のようだ。
壁に山の絵を描くのではなく、植物というリアルなものを使って壁にジオラマを作っている。
ジオラマガーデンだ。
手前の麓のところは直接地面にポットを置き、そこから階段状に高くしている。
うまく、雑誌用の本棚みたいなものを利用して、段々と山並みを作ることに成功している。
僕が4年前に見つけた、4次元ガーデンは家の中にジオラマを作っていた。
二階には高山植物、低くなるにつれて、植物も低いところに育つものに変えていた。
それに似た感覚を持つ庭だ。
そのジオラマに添えられているものは、バイクだ。
緑に囲まれたバイクはまるで山の中をツーリングしているよう。
手前の人間が花を抱えているポスターも山の風景とシンクロしている。
東京の庭師は、ジオラマといっても、プラモデルのように精巧なものを作るというのではない。
もっと創造的なのだ。
色んなイメージが発展しやすいように隙間のあるデザインだ。
クオリティが低いともいわれるかもしれない。
でも、それはおそらく間違っている。
プラモデルのような細密で精巧で、まるでそこにあるかのようなクオリティは逆に創造を減退させる。
何もないところに何かを感じさせる。それが、東京の庭師の仕事だ。
小さなポット一つで壮大な山を表現しようとすることこそ、庭というものであると思う。