4次元ガーデン

13 緑のデザイン。

28.October,2006

いつも不思議に思うことがある。
東京で面白いと思えるような庭を見つける時は、
大抵はそこには庭なんてありそうもないところにあるということだ。
地面があるところより、地面なんてなくてコンクリートに覆われているところの方が、
東京では庭が発生しやすいのかもしれない。
そういうことを考えると、砂漠の国の庭も調べたら面白いのかもしれない。
無いところだから、あるのである。
自然に生えないところには、自然と人工で生えさせるのである。

団地のベランダなんてまさにそうである。
土が一切無い、でも自分のための、でも小さすぎる、空間。
ここには人の庭に対する憧憬が直接表現される。
だからベランダを見るのは楽しい。
団地の裏側にまわると、全ての家のベランダが一斉に見ることが出来る。
それぞれの人間の庭のバロメーターが見える。

この家はもう全部緑で覆ってしまいそうだ。
しかも、全て地面から伸びてきているようだ。
団地が面白いのは、この緑は上や横には行けないというところだ。
緑にもプライバシーがある。よその家に行ったらいけないのだ。
だから、遠目でみると本当にここだけ真緑になっている。
もしかしたら緑自体も自分の生えることが出来る空間というのを把握しているのかもしれない。
人間が無意識に知覚している自分だけのプライベートな空間を、
ずっと同居して、育ててもらっている植物も理解している。
これはちょっと飛躍し過ぎかもしれないが、
そう考えないとうまくおさまらない庭を幾つも見てきた。
なんかあるはずだ。

今、考えたけどこの4次元ガーデン探しを、
本物の植物学者と一緒にやったら面白いかもしれない。
都市の植物生育の謎にもっと深く踏み込めるのに。
ちょっとこのアイデアも進めてみよう。

次はジャングル自動販売機である。
神田のレストランが密集している場所にあった。
お昼休みのサラリーマンが集まるこの自販機。
文字通り都会のオアシス。
なんかSF映画のオアシスみたいだ。
このオアシスには水分が詰まっている。

この企業と人間の間のズレがいい。
人間は基本的にこういう金属製のデカイ機械があまり好きではないようだ。
どうにかして、もう少しソフトにしようと試みる。
その試み方が気になる。
ある場所に自動販売機が置かれたとする。
でかいし、ダサイし、重いし、まわりの環境とは何ら一貫性が無い。
そういうのを企業は平気で作る。
でもそういうのは近所のおばちゃんは大嫌いなのよ。たぶん。
なんでかというと、そういうところにおばちゃんたちは(おじちゃんも)なんらかの仕掛けを施す。
ぬいぐるみ置いたり、造花を並べたり、今回のこの自販機のように植木鉢で囲んだり・・・。
中には緑色にペンキで塗ったりというのもあった。
確実に美意識はおじちゃんおばちゃんたちにあるわけで、
で、そういう無言の闘いが、4次元を産み出すわけだ。

街にすんでいる人間による普段着のデザインが、企業の機械的デザインと結婚する。
デュシャンタウン。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-