4次元ガーデン

17 羊 in 東京

01.November,2006

4次元ガーデンは、いよいよ形としての庭というものを消滅させます。
観念、概念だけの庭。
しかし形は無くなったとしても、庭は都市の中に実はしっかりと忍び込んでいます。
小さく、見えないほどの庭の粒に、人間の頭の中を足すと、
無限の空間が詰め込まれているのが分かります。

この庭もはじめはなんだかさっぱり分かりませんでした。
これは、、、羊ですね。本物みたいな佇まいですけど勿論ぬいぐるみです。
でも本物に見えますね。ぬいぐるみに付着している汚れが実にリアルです。
あっ、本物がありました。餌です。これはドッグかキャットか分かりませんが、
どちらかのフードのはずです。さすがにシープフードじゃないでしょう。
しかも、減っています。
ニセモノだから減らないはずだが、減っています。
どこかの野良猫が食べているのでしょうか。
むしろ、目的は野良猫に餌をやることだったりして。
そのカモフラージュか?でも、しかし,理由が分からん。
飼っていた羊が死んでしまったのでしょうか?
その寂しさを紛らわすために、ぬいぐるみを買ってきて、いつもいた場所に置く・・・。
いや、でもここは神田です。
神田ですよ。神田で,羊は飼わないでしょう。
もしかしたら、ホームステイしていたニュージーランドの思い出か?

とにかく、理由は定かではないが、羊はそこにいるわけで。
餌もしっかり与えられているわけで。
しかも、羊は外を向かず、内側を向いている。少し暗い。

で、これはまさに庭なのではないかと思うわけです。
まぁふつうの庭ではなくて、4次元ガーデンですけど。
ビル片隅に、ぬいぐるみと餌皿をポツンと置くことで、
そのまわり全体を一瞬にして、見渡す限りの草原にしてしまう。
これが、犬だったらそこまでの空間の広がりは期待できなかったはず。 羊だから。大草原に放牧されている羊だから。
見えない空間までも、見ているこちらは感じられてしまうわけです。

もうもはや、植物のある庭とは、根本的に違うものである。
新しい庭が登場してきている

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-