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Journal -坂口恭平の毎日-

2004年9月29日(水)

平野甲賀氏の本作りの本を読んでいて、いいなと思う。
昔の本の作り方。デザインの過程。
今のデジタル印刷とはやはり違う。手作業がある。
そこの質感を失ったら本は人は買わないだろう。
今度「立体」を出すときがきたら、印刷に力を入れたい。
今のデジタルを駆使しながら手作業の微妙な按配もとりいれているような・・。
とにかく手に取りたい本だ。

2004年9月28日(火)

ドイツとベルギーってどうゆう所なのでしょう。イマイチ想像できません。
今回はブックフェアーと展覧会だから、まあいいか。
それよりブックフェアーとかをきちんと記録してこようと思っている。
自分の展覧会も。ヴィデオを持っていったほうがいいかな。
自分の動きを映像に収める。

2004年9月27日(月)

スペクテイターのケイちゃんに新しい0円ハウスの図面ができたので電話すると今度、写真家の小松義夫氏にあってロイドカーンと連絡が取れないかを聞いてみると。
凄いね面白くなりそうだ。小松さんにも会えたらいい。
ロイドカーンは60年代にシェルターという世界各国の小規模の小屋などを自分で旅行を兼ねて調査し、編集した夢の本の作者だ。
やはり私も60年代のフラーなどを調べていく途中でこの本に出会った。
その人とインタビューができないかということをケイちゃんはやっている。
ちょっとこれは実現したい。出発前にどうにかならないものか。

2004年9月26日(日)

NHKで藤森照信氏の特集がやっていた。
氏はやはり私は少し気になっている。
どうゆう風にかはなかなか説明できないけど、いい所を突いているなぁと思う。
そこはボクも興味をもっているからあんまり突っ込まないでぇというところをガンガンやっちゃう。
それでボクも一瞬ガクッとくる。しかも氏の博識は凄い量だからますます・・。
見ていたら石山氏も出てきてしかもスライドショーの中にソーラーバッテリーの隅田川の家まで出てきてこれからはこの建築に近寄っていくんじゃないだろうかねー、とか話していた。
うーん。悔しいけど、今は仕方ない。
僕なりの出す場所、表現方法を探さないといけないと、思う。

2004年9月25日(土)

庭の写真を弟に見せて反応を窺ったら縦撮りの5枚の写真だけを選んでこれはいいと言った。
僕も一応この5枚は自分の中でいいと思っていたのでいいが自分でもよくまだわからないのは、弟にも鈍く見えたのか。
その5枚の乗りで100まいぐらい集まるとこれもとても面白いことになるだろうなぁと思うがまだまだ先は長い。でも5枚は見つかっているんだな。

2004年9月24日(金)

DVDをアルゴスに送る。
展覧会のホームページができていて、それをみていたらなんとレム・コールハ-スが一緒の展覧会に出品することになっているではありませんか!
彼は現在建築家で、のりに乗っている人で、ジャーナリズムと建築を駆使しながらの表現に私も感じるところがあるので、本を贈ってみていたのでした。
勿論忙しい彼からは返事は来ていませんが・・。
それでも同じ場所で展覧会をやるとは、ちょっとぼくもビビッテしまいました。
どんなところでやるんでしょう?
ホウにまかせっきりだったのでちょっとこれは本当にがんばらないといけません。

2004年9月23日(木)

0円ハウスの展覧会用のDVDが完成したので、伊藤氏の所に取りに行く。
今回の展覧会の技術的なことは伊藤氏に頼りっきりだったのでありがたい。
今回の0円ハウスのDVDは前にもいったように、写真集とはまた違って一枚一枚の写真を大きくプロジェクターで拡大できるので面白い反応が期待できる。

2004年9月22日(水)

大竹伸朗さんからお手紙が届く。感謝。
本を贈っていたのだが、きちんと返答してくれた。
仕事を続けてくださいと書いてあった。
大竹さんの本作りにはボクも衝撃を受けてきたので、非常にうれしい。
とにかくやり続けること。身にしみて感じました。

2004年9月18日(土)

佐伯祐三の絵が気になる。風景絵画であるのだが、それだけでは言い表せない。
彼は、看板やポスター、壁の質感を絵の前面に出してきていて、それは周りの風景から飛び出して僕の目に飛び込んでくる。
建物の絵も正確に書くというのではなく、その建物のボリュームに表現が集中している。
今見ても新鮮だ。
今度大阪で維新派が一年ぶりぐらいで演劇をやるらしい。
行きたいけどちょうど僕がヨーロッパに行っているときなのでいけません。
前回の東京公演のときは行ったのだがはじめてみる快感だった。
演劇自体がひとつの祭りと化していて昔子供劇を見に行っていたときを思い出した。
あの時演劇は本当にぼくにとって祭りそのものだった。

2004年9月17日(金)

言っていたようにチケット代捻出作戦で佐川急便にいった。
夜から朝までの荷物振り分け作業だ。
仕事を始めるときに注意事項などを聴いていると、いきなり、ペルー人のおじさんたちがもうダッシュで部屋に入ってきて、そこにあるテレビの電源をつけるともってきていたであろうペルーのお笑い番組みたいのを大音量で見はじめ、もう笑いまくっている。
なんだここは。夢のなかにいるようだ。
そのおかっぱ頭のペルー人3兄弟をみてると不思議な場所にもっていかれた。
一緒に仕事していたのは俳優志望のおとこで。
なにがなんだかわからんが、こうゆうときにいつも映画よりリアルな間を肉体労働の場に感じてしまう。これを4,5日やってチケット代とすべし。

2004年9月16日(木)

庭の写真が第一段階だけどできた。しかし、なにか物足りない。
0円ハウスの焼き増しをしているような感じがする。そうではないのだ。
ボクがまだ気付いていない自分の中のものを表現したいのに、既知のなかで走り回っているような気分がしている。まあ始めたばっかりだからしょうがないけど。
これはちょっと置いといて発酵させてみよう。アイデアは発酵させてナンボノのものである。

2004年9月15日(水)

バイト先の常連のおばさんがいるのだが、コノ人はどうも結構すごい人らしい。
よくは分からないのだが、アフリカのどっかの大統領と電話したりしているらしい。
僕はよく彼女と仕事中おしゃべりをするのだがそれで僕にこれから何かやってみたいことがあるかというような話になりボクは映像を撮りたいといったら彼女は私は昔ドキュメンタリーのコーディネイターをやってわよと。
アフリカの動物モノのドキュメンタリーだそうだ。
どんどんボクが反応するような事を出してくる。ふーん。
なにかドキュメンタリーを作って売り込みにいくというのもアリだな。

2004年9月14日(火)

ベルギーアルゴスから連絡。
何?航空券あげられない?ごめんなさい?
そうです、招待作家でもない私にはギャラも発生しない。
これでいけなくなるかと一瞬思うが、こうなったら旅費をどっかから稼いでこないといけませんね。
ぜったい行ってやる。今回は少しばかり楽になるかと思ったが、そうはさせてくれませんね。
コノヤロ。

2004年9月13日(月)

伊藤宅で0円ハウスの展覧会用のスライドを作る。
出来上がってみると本の仕上がりとはまた違って良いものになる。というか全く別物になった。
媒体で自分の写真のイメージが変わるモンなんだなと。
ちょっとこれを大きく引き伸ばしたくなった。きちんとプリントを焼きたい。

2004年9月12日(日)

狩猟時代の人間は今の人間とは全く異なった空間認識を持っていたそうだ。
それは勿論狩猟によって高められた感覚である。
遠くの動く動物を捕まえるときには、距離感、動物の速さを知ること、回りの人間との集団行動と、今の人間には考えることのできないような高度の知覚が必要だった。
時間を経るにつれて人間はその狩猟的空間認識を忘れていった。
そのときにはまだ直感が普通の知覚として使われていたのではないか?そんな妄想に駆られる。
時間と空間がそのときは一つの世界ではなかったのではないか。
他の生き物の時空間も同時に感知できていた。
しかも集団での行動だったということは他の人間の時空間も同時に体験していたのではないか。
それは今よりもっと広いパースペクティブであったんだろう。
ホックニーによればそれは中国絵巻からも感じ取れるという。
人間が今見ている空間はもっと多くの事象を含めながら回転している。
そこまでをいれたものが建築という概念ではないのかななんて妄想。
700円ラジオをフーが購入し、聞いているその電波に同じにおいを感じる。

2004年9月11日(土)

スペクテイターで夜打ち合わせ。
イラスト中心の構成でいこうと決まる。
0円ハウスの新しいスケッチを載せようと考える。
この前見た、新しく増えたソーラーバッテリーの家をもう一回訪問しよう。

2004年9月10日(金)

古武家賢太郎君の展覧会オープニングに行く。
リトルモア竹井さんとも会う。
古武家君の今度の作品はまたこれまでとはタッチが変化していて、気持ちよかった。
人が作る次の絵というものは非常に興味をそそる。
彼も自分を進化させてる。見てるとこっちも盛り上がってきた。
展覧会を見ていてやはり僕も何かしら展示をしたいなと正直思った。
ベルギーではがんばらなくちゃと。日本でもしたい。
スタジオヴォイスから原稿料が!おお!

2004年9月9日(木)

コンポジットに掲載。しかも移住ライダーの写真も。
これを見て人はなんと思うんだろうか・・。
アルゴスからようやく返事が。しかも、早く情報をおくれとの指示。
まだ航空券の話までいかず。でも一歩前進。

2004年9月8日(水)

雑誌といっても、何十ページもあるような冊子じゃなくて、毎号一つの建築をとにかく特集する。
建築といってももっと広い意味で路上のもの、無名のもの、子供が作ったものでも何でもいれる。
A4ぐらいに折りたたんであって、広げるとA1ぐらいのおっきなポスターになる。
そこに写真がどかーんとある。裏にはスケッチを事細かに書く。
写真では伝えられない空間の様子もスケッチではうまくいく。
手書きでA1に目一杯。それを印刷は任せるとしても販売方法をどうにか工夫していきたい。
でも個人のものはナカナカ置いてくれないだろうけど。
情報ではなく、体験の本。椎名誠の本の雑誌の話は面白かった。

2004年9月7日(火)

群像に原さんが書評を書いてくれた。
結構すごいこと書いてあった。ありがたい。
少しずつ出てきているので、これはがんばらなと思う。
作品もだいぶ新しいのができてきたので、そろそろ売り込みを仕掛けないと!!

2004年9月5日(日)

以前企画した「立体」を今度は本格的に発行したいと思っている。
様々な建物をスケッチと写真で構成し、まるでその中に入っているようなものをではなく、入っているのをきづかないようなものを。
捉えるものは、建築家の作品から、建築家ではないものも含めて今までにはない観点で作れないだろうか?と思っている。
しかも自費出版で。前回は途中であきらめてしまった。
もっと安価で魅力あるものにするにはということをもう一度検討したい。

2004年9月4日(土)

今和次郎。彼は考現学の創始者である。彼の感覚は参考になる。
始め柳田国男らとともに民家の採集を行っていたが、他の民俗学者はそれらの資料をもとに目に見えない部分、人間の心理、神話などを机上で論じたが、彼だけは違った。
彼は民家といっても、重要文化財になるような古いものや価値のあるとされるものだけを調査するのではなく、なんてことはない普通の民家をスケッチした。
しかも詳細に、さらに建築本体だけではなく、その周りの環境、物品、洗濯物に至るまで「建築外の建築」と呼ばれるものを本体と同等に扱った。
そのなかで土間の研究というものがある。
それは土間を天井から眺めているような絵で、そこに置かれている物全て、ごみのような物に至るものまで書き尽くしている。
さらに彼は「人間の動線までも書き込みたかった」といっている。
彼は建築に興味があるわけではなく、空間自体に惹かれているのである。

2004年9月3日(金)

スペクテイターのケイ君と会う。
今度の号で記事を載せてくれそうだ。
結構ページを割いてくれると言ってくれているので、これはがんばらないと。
今回はスケッチを大々的に使おうということになった。
まだスケッチに関してはあんまり出せていなかったので。これはチャンスだ。
そのあとけい君と一緒にライブを見に渋谷へ。
ホウから0円ハウスの展示はスライドショーのような形でするのはどうだと提案。なるほどね。

2004年9月1日(水)

朝からキース・ジャレットのインタビュー本読む。
この中には、彼の音楽の秘密が散りばめられている。
マイルスやコルトレーン、ドビュッシーやバッハなどの言葉も入っており、非常によい。
その後、渋谷で撮影。と思ったが、蔦谷でマイルス「LIVE EVIL」、「BIG FUN」を聞く。
そのあと撮影したが、渋谷はあんまりいいのがない。
困ってとにかく歩いていると、小田急線沿線に出てきて、なんかにおいがしてくる。
そして代々木上原にでる。ここで庭のオンパレード通りにぶつかる。
あるは、あるは。すごい。そのままそこで二時間とりまくる。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-