St-Nazaire Journal

Vol08. 空気の変化

21th Nov,2007

起床後、窓を開けると晴天である。珍しい。気持ちよくなって朝から歩く。自分の作業についても今ひとつ今回はパッションが出て来ない。まぁ散歩でもして気分転換してみる。

街をあんまり歩いていなかったので新鮮な散歩。海まで歩く事にする。ここの海辺は戦争前は優雅な避暑地だったそうだ。しかしドイツ軍が軍港を作った後は破壊されてしまった。映画監督のジャック・タチはここの海辺をモチーフに映画を作ったらしい。海は荒れている。

歩きまくったら腹が減ってベルギー麦酒屋に入って麦酒とマルゲリータを注文。デカイ。気合いが入ってきたところでオーレリからホテルの部屋に電話。ドローイングの額縁が出来上がったから一緒に取りに行こうとの事。待ちに待ったものがようやく出来た。

マスターは僕の絵を無茶苦茶気に入ってくれていて、僕がインスピレーションを感じそうな作品集などをいくつも見せてくれた。で、仕上がりトレビアン。一緒にいったマリーとオーレリも興奮状態。いいよいいよその調子。ようやくこっちもエンジンがかかってきた。

展覧会場に持ち込む。これが仕上がったドローイング。額屋のオジさんが色々練りに練って作ってくれたおかげでパンチの効いた作品になったと思う。クリストフも喜んでいる。スタッフも色々と面白がって見に来ていた。それで見た後に何か動きが変わってきたような気がした。この作品を気に入っているといいながら展示する方法までいきなり考え出す。これは面白い発見だった。やはり作品で唸らせないといけないわけだ。これはまた新しい領域のことなのかと理解した。もうただ展覧会をするということだけの世界ではない。本当に面白い事でないとスタッフもついてこないのだ。そのため今回のこの空気の変化は身に沁みた。深夜にまでわたって作業は続く。スタッフもやる気満々である。知らないうちに12時を過ぎていた。

差し入れもあった。赤ワイン、麦酒、ハムやらチーズやらチップスやら色々。食事はもうほどほどにしてとにかく作業。写真はエリック。エリックとイアンに作業を手伝ってもらう。エリックはDig-ital を大層気に入ってくれて動きが一目瞭然に変化した。なるほど。

いよいよ展示作業に入っていく。全部自分でやるのだ。どうにか午前1時に写真のメドが立ち今日は終了。僕の写真の裏側では写真家の畠山直哉さん、そのまた裏側には杉本博司さん。向かいには河原温さんの見た事のない広島のドローイングと徐々に正体を表し出したLe Japon(s)展。どうにか僕も自分で出来ることで人にインスピレーションを与えたいものだ。周りの作家からの緊張感が背筋をピンとさせてくれる。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-